法改正
有給休暇取得義務化、運用チェックリスト
監修: 内山 美央(代表|特定社会保険労務士)/公開: 2026-03-27/更新: 2026-04-08
年5日の有給取得義務化に対応するための、勤怠システムでの設定・運用フローを社労士がまとめます。
制度の概要と使用者の義務
2019年4月施行の改正労働基準法(第39条第7項)により、年次有給休暇が10日以上付与される労働者に対して、付与日から1年以内に5日以上を確実に取得させることが使用者に義務付けられました。違反した場合、労働者1名につき30万円以下の罰金が科される可能性があります。
対象労働者には、管理監督者、有期契約労働者、パート・アルバイトを含み、週所定労働日数に応じて比例付与される労働者も、付与日数が10日以上であれば義務化の対象となります。
チェック1:付与日管理と残日数の可視化
個人ごとに付与日と残日数を正確に管理し、年度末まで残り月数×平均取得日数を逆算して「5日未取得リスク」を月次で可視化します。勤怠システムのダッシュボードでアラート設定するのが望ましい運用です。
入社日基準で付与している場合は、従業員ごとに付与日が異なるため、基準日統一(全社一斉付与への移行)も検討対象です。
チェック2:計画的付与制度の導入
労使協定を締結したうえで、年次有給休暇の5日を超える部分について会社側が取得日を計画的に指定できます。夏季・年末年始の連休延長、飛び石休日のブリッジ等に活用されます。
計画的付与の対象日は、従業員側の時季変更権が及ばなくなるため、制度設計時には従業員への十分な説明と合意形成が重要です。
チェック3:時季指定権の行使
5日未取得が見込まれる従業員に対して、会社から取得日を指定する運用を設計します。事前に意見聴取を行ったうえで、業務への影響を考慮した日程で時季指定することが求められます(労働基準法施行規則第24条の6)。
時季指定の記録は「年次有給休暇管理簿」として3年間保存する義務があります(施行規則第24条の7)。勤怠システムに管理簿機能がない場合は Excel 等で補完が必要です。
チェック4:半日・時間単位有給への対応
半日有給は労使協定なしでも就業規則で制度化できますが、時間単位有給は労使協定が必須で、年間5日分が上限です(労働基準法第39条第4項)。
義務化の5日にカウントできるのは半日有給までで、時間単位有給は含まれません。給与計算連携も含めてシステム設定を確認してください。
チェック5:運用の自動化とアラート設計
勤怠システムで「年5日未取得」の自動アラートを設定し、本人・直属上司・人事部の3者に通知する運用が望ましいです。年度末の駆け込み取得と業務停滞を防げます。
管理職の取得も忘れずに確認し、組織全体の取得率を KPI として可視化することで、働き方改革の推進にも繋がります。
参照・一次情報